レインコートもいいけど、傘は必要
知らなかったとはいえ「小学生みたいにレインコートを着てる」と星野は言ってしまった。
過去の真実を聞いて深く反省した星野は、立ち上がって自動販売機に近づき、ジュースを買って姫井に手渡す。
「飲みなよ」
「えっ、ありがとう……」
二人はそろって、缶ジュースに口をつける。
空に視線を向けると、雨が止んで雲の切れ間から太陽の光が見えた。
「遅刻だけど、飲み終わったら行こうか」
「そうね……」
立ち上がった姫井は、足を内股にしてモゾモゾしながら恥ずかしそうに口を開く。
「星野くん、話を聞いてくれて……ありがとう……」
頬を赤く染めた照れ顔を見られたくないのか、俯いた姫井の表情は前髪で隠れていた。
委員長と副委員長が、そろって遅刻をするとクラスメイトに怪しまれる。
変な噂をたてられたくないので、二人は時間をずらして学校へ登校することに……