レインコートもいいけど、傘は必要


 大型連休が終わった五月の中頃、課外授業で地域の清掃ボランティアをすることが決まってる。


 その役割を決めるため、学級委員会が開かれたんだけど、私語が多くて騒がしく話がさっぱりまとまらなかった。
 
 委員長の僕が仕切って、意見を調整する立場なのに上手くいかない。

 担任教師が見かねて、注意しようと椅子から腰を上げた直後。


「みんな、いいかげんにしてよっ!まじめにやって!」


 ――姫井がキレて、大声を張り上げた。


 普段あまり何かを主張したり、同級生を注意する姿を見たことがないので、クラスメイトたちは驚いてたんだけど……

 それが徐々に、生意気だと陰口をたたかれる切っ掛けになってしまう。

 副委員長として、その場を何とかしようという正義感が裏目に出たようだ……



 次の日から、姫井は教室内で浮いた存在になってしまう。



 普段からクラスメイトたちと群れるのを嫌う彼女。

 女子のグループにも加わらず、昼休みも一人で過ごす姿を見かけることが多くなった。

 先生は、どうしてこんなに不器用な人を学級委員に選んだのかなと疑問に思う。

 強引に僕たちへ押しつけてきたことが始まりだけど、引き受けて深く後悔する。



 姫井がクラスで孤立していく中、六月に入って本格的な梅雨の季節がやってきた。




 と同時に、教室である噂が広がっていく……





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