新人メイドと引きこもり令嬢 ―2つの姿で過ごす、2つの物語―
「誰だ?」
最初に来た時のように冷たい声が、部屋の中から聞こえた。
「あ、あの…お夜食を、お持ちいたしました…」
娘はばれないよう懸命に声を少し変えるようにして返事をした。
「入れ」
「失礼いたします…」
そっと中に入ると、主人は部屋で机に向かっていた。
「どちらに…置きましょう…?」
「…ではそこの上に」
主人はこちらも見ずにそう言った。
娘はそっと胸を撫で下ろし、作業をなるべく手早く終えると、
「失礼いたしました…」
そう言い、部屋を出ていこうとした。
「…待て」
いきなり声を掛けられ、彼女は飛び上がるほど驚いた。
「…お前は?そういえば見ない顔だ…若い娘だな…誰の紹介だ?誰かの紹介でなければ、ここへは入れぬはずだな?」
「え…え〜と、それは…」
娘はしどろもどろになり、覗き込まれそうになる顔を更に下に向けた。
(どうしよう…)
答えられず困った、その時。
「失礼いたします。…!!」
執事がやってきて、娘の顔を見て一瞬驚いたようだったが、すぐに普通の無表情に戻った。
「…リン、探しましたよ?そろそろ御主人様に御挨拶をと思っていたので」
全く違和感なく、執事の口から偽りの事が出てきた為、娘は一瞬戸惑うが何とか合わせた。
「す…すみませんっ…!シェフは急用で…私は、ご主人様にお夜食をお持ちするよう頼まれたのです…」
最初に来た時のように冷たい声が、部屋の中から聞こえた。
「あ、あの…お夜食を、お持ちいたしました…」
娘はばれないよう懸命に声を少し変えるようにして返事をした。
「入れ」
「失礼いたします…」
そっと中に入ると、主人は部屋で机に向かっていた。
「どちらに…置きましょう…?」
「…ではそこの上に」
主人はこちらも見ずにそう言った。
娘はそっと胸を撫で下ろし、作業をなるべく手早く終えると、
「失礼いたしました…」
そう言い、部屋を出ていこうとした。
「…待て」
いきなり声を掛けられ、彼女は飛び上がるほど驚いた。
「…お前は?そういえば見ない顔だ…若い娘だな…誰の紹介だ?誰かの紹介でなければ、ここへは入れぬはずだな?」
「え…え〜と、それは…」
娘はしどろもどろになり、覗き込まれそうになる顔を更に下に向けた。
(どうしよう…)
答えられず困った、その時。
「失礼いたします。…!!」
執事がやってきて、娘の顔を見て一瞬驚いたようだったが、すぐに普通の無表情に戻った。
「…リン、探しましたよ?そろそろ御主人様に御挨拶をと思っていたので」
全く違和感なく、執事の口から偽りの事が出てきた為、娘は一瞬戸惑うが何とか合わせた。
「す…すみませんっ…!シェフは急用で…私は、ご主人様にお夜食をお持ちするよう頼まれたのです…」