新人メイドと引きこもり令嬢 ―2つの姿で過ごす、2つの物語―
 優しく服をはだけられ、全身にそっと口付けられる。

「んっ…恥ずかしいです…」

「愛らしいやつだ…。リリィ…リリィ…」

 抱き締められ、主人を肌で感じた。

(なんて自分らしい人なんだろう……私、こんなに人を好きになれるなんて…。やっぱりご主人様がコウさんなんだ…)

「…なんだ?何を考えている?」

「私、ご主人様のおかげで、堂々と自分らしく生きていけそうです…ありがとうございます…」

「何を言っている。俺こそ、お前のおかげで今、自分らしくいられるんだ。俺は、お前を選んで良かった…。愛している、リリィ…」

 主人は娘に優しく口付け、娘の下に指を這わせた。

「あ…!!」

「濡れている…よくこうしておかなくては…」

「やっ、あぁ…!」

「嫌か…?痛いか…?」

「い、いいえ…ご主人様っ…」

「リリィ…御主人様はもうやめてくれ…。コウ、と、そう呼んでくれ、これは俺の幼名だ…もうそう呼ぶ者は誰もいない…」

「コウ…。痛くありません…貴方と一緒にいられるなら、私は幸せです…」

 娘は主人に抱きつき、幸せを噛み締めた。そしてやがて二人の身体はゆっくりと重なった。

「いっ…痛…」

「すまない…だがもう…!」

「っ…はい…」

「はい、じゃない…」

「…うん…愛してる、コウ…っ!!」

二人は寄り添ったまま朝を迎えた。
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