君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
Prologue
「誰にも渡さない」
大きくて温かい手が、三つ編みを結っているヘアゴムに触れる。
左右順番にそれを解き、癖のついた髪を指で梳いていく。
守るように後頭部に手を添え、壊れ物を慎重に扱うような手つきでベッドに横にされると、愛しい人の熱い視線に鼓動が高鳴るのを感じた。
「舞花」
私の名前を呼ぶ大好きな声。
近づく距離にそっと目を瞑る。
すぐにキスが落とされ、舌で閉じている唇を開かれた。
「……っ、ん──」
口づけを終えた唇が耳珠に触れ、首筋をなぞる。
瞑った真っ黒な視界の中で、突然チカッと閃光が走った。
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