君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
それから十日もしないうち、落合先生が食事会の席を用意してくれた。
八月も後半。世間のお盆連休期間も終わった八月十七日から私の夏季休暇が始まり、ちょうどその期間中に約束の日程が決まった。
「電車で良かったのに。わざわざタクシーなんて……」
約束のホテルまで最寄り駅から電車で十分ほど。
普段なら電車で向かうところ、母が今日はタクシーで向かうと言い出した。
今日も朝から猛暑のため、徒歩と電車で向かったら汗だくで服もメイクも台無しになるからと、わざわざタクシーを使ったのだ。
確かに着いた頃にはメイクはどろどろ、背中には汗染みができてそうだけど、何もそこまで厳重にしなくてもと思ってしまった。
「いいのよ。せっかく綺麗な格好してるんだから、こういうときくらいね」
今日の話を了承してから、母は幾分元気を取り戻したような気がしている。
あの日も話が決まったあと、今日の食事会に着ていく服を買いにいこうと母に誘われ、久しぶりに一緒にショッピングに出かけた。
今日着ている淡いピンク色の膝丈パフスリーブワンピースがその日に購入したものだ。