君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


「落合先生にお会いするの、久しぶりだな」


 確か最後に会ったのはもう何年か前と記憶している。

 お店の手伝いに出ていたとき、仲の良い奥様と来店してくれていた。

 当時、私が幼稚園教諭駆け出しの頃で、ご夫婦で激励しれくれたことはしっかりと覚えている。


「そうね。うちに来てくださるたびに『舞花さんは元気か?』って気にかけてくださるのよ。会わないうちにどんどん綺麗になってるだろうな、なんて言ってくれたり」

「え、やだ。期待通りになってないよ、絶対」

「そんなことないわ。今日は一段と綺麗よ。さすが、私の自慢の娘」


 母はそう言って、ふふっと笑う。

 その様子がどこか嬉しそうで、やっぱり断らず会うことに決めて良かったと密かに思った。

 だけど、今からあの久世先生を相手に改まった食事会の席に顔を出すと思うと、緊張は着実に増している。

 お見合いのような堅苦しくない食事会といえ、内容はお見合いのようなものだ。

< 103 / 238 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop