君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
もともとは診察をしてもらったお医者様。
診察も兼ねてという名目で一度プライベートな時間に食事をしたけれど、私の中では〝主治医と患者〟という関係で成り立っていた数時間だった。
それでも時折ドキドキしてしまったのは隠しきれない事実。
緊張を強いられる完璧な容姿の持ち主だし、接してみると終始穏やかで余裕を感じられる人柄だった。
普段、仕事柄多く人と接するし、プライベートでも間違いなく女性にはモテると思われる。
私と違って恋愛経験も豊富なのだろうと思うと、今から早速気後れしてきてしまう。
そもそも、相手がいなかったことに一驚する。
たまたま、そういうタイミングだったのかな……?
久世先生のことを考えているうち、タクシーは約束の老舗高級ホテルへと到着する。
そのままホテル建物の送迎専用車寄せのロータリーに入っていき、母と共にタクシーを降り立った。
時刻はちょうど四時五十分。五時に待ち合わせをしているという。
「ホテルのロビーラウンジで待ち合わせになってるんだけど……あ、いらっしゃってる」
「えっ」