君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「舞花さん、あまり固くならずに気楽に食事しよう」
どこを見たらいいのかわからずじっと小鉢の中の料理を見つめている私に、落合先生が声をかけてくれる。
「は、はい……」
返事ひとつにも力が入ってしまう私を、向かいの久世先生は口元に笑みを載せて眺めている。
緊張状態の私と違って余裕の様子だ。
落合先生が乾杯の声をかけ、それぞれがグラスに口をつける。
お酒は苦手だけど、こういう場ということもあり、みんなに倣って少しだけ口をつけた。
飲み慣れないビールで、口の中いっぱいに独特の苦みが広がる。
「それにしても、舞花さんお久しぶりだね。もう、三、四年になるかな」
斜め前の落合先生が私を見てにっこりと微笑む。
以前お会いしたときと変わらないグレーカラーの髪は、今日もきっちりとセットされていて清潔感がある。
数年経っても変わりがなく、落合先生は歳を取っていないように感じた。
「ご無沙汰しております。はい、私が勤め始めたばかりの頃だったので、もうそのくらい前になりますね」
「そうか。お母さんからたびたび聞いているよ。立派な幼稚園教諭になったようだね」
「ありがとうございます。毎日なんとか頑張ってます」
「それに、ますますお綺麗になられた。久しぶりに会って驚いたよ」