君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
5、夢のような一日
九月に入り、幼稚園も二学期がスタートした。
日焼けした子どもたちが元気に登園してくれ、またクラスの子どもたちと毎日を過ごせる日々に心が躍る。
通常保育が始まって一週間が経つ週末、日曜日。
今日は久世先生とお昼前から会う約束をしている。
真っ青な空に、レースのような雲が漂うのを見上げて深呼吸する。
九月に入ったものの、例年通り残暑は厳しい。
「舞花!」
後方から声がして背後のマンションを振り返ると、住まいの三階外廊下の吹き抜けから母が腕をかけ私を覗いていた。
「どうしたの?」
「ううん。久世先生来たかなって思って」
結婚を前提にお付き合いをするということになってから、改めて会うのは今日が初。
約束の日が近づくにつれそわそわしていたけれど、私同様に落ち着かない様子だったのは母だ。
だから今もこうして、今までしたことのない行動を取っている。
あの食事会のあと、私たちが縁談を進めると報告を受けた母は、想像以上に喜んでくれた。
『良かったわ』を連呼し感激している姿を見ると、自分の決断は間違っていなかったのだと思えた。