君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「ねぇ、やっぱりちょっと地味じゃない? その格好」
そう言われて、自分の姿を見下ろす。
今日は、黒のトップスにグレーの麻素材が涼し気なボリュームロングスカート。
一応、黒いトップスも袖がレースのデザインになっていたりするものを選んでみたりと考えたけど、色が地味なのはどうしようもない。
改めて自分のクローゼットの中を眺めてみると、持っている服は季節関係なくモノトーン調のものばかり。
華やかな柄物や、パステルカラーなどの明るい色の服は一切入っていなかったのだ。
モノトーン調ももちろん好き。だけど、どうしてこんな地味な色の服ばかり持っているのかが今更よくわからなかった。
もしかしたら無くしている記憶の中にその訳があるのかもしれないけれど、今の私にはいくら考えてもわからない。
「うーん……これでも考えたつもりなんだけど」
「あ、来たんじゃない?」
そんな話をしている中、母が道路の向こうに視線を投げる。
見ると久世先生の車が走ってきたのが目に入り、自然と背筋がピンと伸びた。