君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「可愛いぃー!」
お待ちかねのかわうそ展示へと到着し、ガラスの向こうに見えた本物のかわうそに思わず歓喜の声が上がる。
くりっとした離れた目に、長いひげ。なんといっても、あの丸い頭から体にかけてのフォルムがたまらなく可愛らしい。
「可愛い……可愛すぎる。あっ、こっちきた!」
ガラスの目の前でじっと観察している私の前に、一匹のかわうそがするすると走ってくる。
ガラス越し目の前まで来てくれて、目線を合わせるために膝を折って背を縮めた。
「久世先生、見てください! この愛らしい姿!」
感動のあまり興奮してしまい、周囲が見えていなかったことに向けられる他人からの視線でハッと気づく。
いい大人がかわうそでこんなに大興奮するなんて私くらいだろうか?
久世先生はそんな私をクスッと笑ってくれるけど、一緒にいて恥ずかしい思いをさせてしまったのではないかと反省する。
誤魔化すように「あっ、なんか鳴いてる……」と静かに観賞を続けた。