君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「あっ、公宏さん」
戻ってきた俺の姿に気づいた舞花が、一緒にきた案内所スタッフに気づきぺこりと頭を下げる。
「こちらのお子さんですか?」
「あ、はい。はるとくんというそうです」
動物園のスタッフに引き渡すこともできたし、これで一件落着。
安堵していたそんなとき、向こうから「はるとー!」と切羽詰まった呼び声が聞こえてきた。
駆け寄ってきたのは、男の子の母親と思われる女性と、小学生くらいの女の子。
男の子からも「ママー!」という声が上がり、迷子センターに向かう前に家族が見つかった。
母親は十分すぎるほど舞花と俺に頭を下げてお礼を言い、子どもたちを連れて園内に去っていった。
男の子は何度も「先生バイバーイ!」と振り返り手を振っていた。
今日の目的であったかわうそも見終わり、そろそろ動物園を出ようと入場ゲートに向かって歩みを進める。