君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
動物園の入場ゲートを出、駐車場に向かって舞花の手を引く。
生暖かい風が吹いてきて、舞花のグレーのロングスカートが揺れて舞う。
「舞花、服はモノトーンコーデ派?」
「えっ……あー、はい。そうみたいです」
初めて会った日──パペットを取りに夕方病院を訪れたときも、診察のあとに食事に誘ったときも、舞花の服装が全体的に黒っぽかったことが印象に残っていた。
食事会のときこそ淡いピンク色のワンピースを着ていたけれど、今日会うとまたモノトーンコーデだった。
決して手抜きだとか、ファッションに無頓着という印象はない。
デザインは凝っていたりトレンドを取り入れているし、季節に合った素材のものを着ている。
ただ、色味が暗いというだけ。
目が大きく華やかで可愛らしい顔立ちをしているから、もっと明るい色のものを身につければ更にいいのに勿体ないと思ったのだ。
「そうみたい?」
「はい。なんか私の持っている服、だいたいが黒、白、グレーで、色物とか柄のものがなくて。なんでこんなに地味な服ばっかりなんだろうってクローゼット見ながら思ってたんですけど……よくわからなくて」
そこまで言った舞花は小さく息をつき、自分の服装を見下ろした。