君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「もしかしたら、何か無くしている記憶に関係しているのかもって思ってたんです」
舞花にそう言われて、奥深くに仕舞われていた古い記憶が蘇る。
『そういう事情もあって、うちの子、地味でね』
『なるべく目立たない服装って、黒ばっかり。黒子みたいなの』
『花柄のワンピース着てる華やかな人と、黒っぽい地味な服着てる人じゃ、花柄の人のほうがターゲットにされそうだとかって、変な思い込みでね』
聡子さんが以前、お店で舞花の話をするときにそんなことを言っていたのを思い出した。
男性恐怖症になってからというもの、地味になるべく目立たないようにと服の趣味も変わってしまった、と。
過去のトラウマごと記憶を喪失していると考えるなら、今の自分のクローゼットは疑問だらけに違いない。
「舞花、今から連れていきたいところがある」
そんな話から突然閃いて、この後のプランを追加する。
舞花は「今から、ですか?」と不思議そうに小首を傾げたけど、快く了承してくれた。