君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
動物園を出て向かった先は表参道にある路面店『ニナ・クチュール』。
少し前にこの前を車で通りがかったとき、信号待ちの間ふと目に入ってきてから気になっていた。
以前なら女性の入るような店の前を通りがかろうが気にも留めなかった。
でも今は、無意識に舞花に似合いそうだとか思考が勝手に働く。
「え、ここ、ですか?」
青山通りは深緑の街路樹がさんさんと降り注ぐ陽の光を遮っている。
ニナ・クチュールの路面店はガラス張りで、マネキンが上品に間隔を置いてコーディネートを披露している。
「来たことある?」
「この店舗はないですが、デパートに入っている店舗には何度か。でも、敷居が高くてウィンドーショッピングで精一杯でした。でも、どうしてここに……?」
「せっかくだから、明るい色の服でも見たらどうかと思って。って、少し前にここの前を通ったとき、舞花に似合いそうだなと思って見てたから、一緒に来てみたいっていう俺のエゴなんだけど」
「エゴだなんて!」
ガラスの入り口を入っていくと、店舗は広々と見やすいディスプレイで客を迎える。
スタッフは入店してきた俺たちに上品に会釈をして出迎えた。