君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「入って」
「は、はい。お邪魔します……」
舞花にとっては突然連れてこられて人の家にお邪魔するような感覚に違いない。
先に玄関を上がり、舞花の自室になるだろう部屋へさっき買い求めてきた洋服の入る紙袋を置く。
あとに続いてきた舞花は、あちこちに視線を走らせ内装を観察をしていた。
「わぁ……すごい……」
暗いリビングダイニングに入ると、部屋の奥のガラス窓に東京の夜景が浮かび上がっていた。
そこに目を奪われた舞花の様子に、部屋の明かりをあえてつけずリビング奥へと向かっていく。
まだ家具や家電の入らない部屋はがらんとしていて、内覧に来たときとまったく同じだ。
「あの、さっき……一緒に住むって……?」
もしかしたら聞き間違えたのかもしれない。そんなニュアンスを含んで舞花は訊く。
「言った。本当は、もう少し時間を共有してからここにも連れてこようと思ってた。でも、すぐにでも一緒に住み始めたい」
舞花の瞳が驚きで揺れる。
その目を見つめ、噓偽りのない想いを込めて口を開いた。
「正式に、俺と結婚してほしい」