君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「結婚という約束に、辛い思い出があるから信じられないのは十分わかってる。だから、余計に安心させたいって思ってる。そんな思い出、忘れるくらい幸せにできたらって」
「公宏さん……」
舞花の目にじわっと涙が浮かぶ。
その顔を見た途端、ぎゅっと心臓を鷲掴みにされたようだった。
ここから救い出して──まるで、そう訴えかけられているかのように。
「すぐにでも婚姻届を出して、夫婦になろう」
全部塗り替えて、幸せな記憶をたくさん残してあげたい。
辛い過去なんて元々無かったと錯覚するくらい、全て綺麗に忘れさせる。
限界を突破した涙が頬を伝いだすと、舞花は小さく肩を揺らして泣き始めた。
震えるその小さな体を引き寄せ、しっかりと抱きしめる。
「必ず幸せにする」
その言葉に応えるように、舞花の腕が弱々しく俺を抱きしめ返した。