君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「舞花、お帰り」
「ただいま。どうしたの? 具合悪いとか」
「ううん、大丈夫よ。ちょっと立ち眩みして頭痛があってね。少し横になってただけ」
「え、大丈夫? なんか最近そんなこと多くない?」
「疲れてるのかしらね。ちゃんと眠れてるんだけど。そんなことより、新生活はどう?」
ソファに座り直した母は早速興味津々に問いかけてくる。
「どうって……まだ今日で三日目だし、あのマンションにも全く慣れないよ」
婚姻届を提出後、公宏さんと私の休みが一致した数日で新婚生活を始めるための準備に追われた。
あの広くて豪華なマンションにとりあえず最低限必要な家具家電を入れ、生活が始められるように整えたのだ。
そして、三日前から新生活がスタートした。
「久世先生とは上手くやれてる?」
「うん……でも、お医者様ってやっぱり忙しいんだね。当直があったり、緊急のオペとかになったら予定通り帰れないことも少なくないみたいだし」
引っ越した初日は予定外の呼び出しで夕方から病院に出勤し、その翌日は当直で帰ったのは今朝方だった。
私が起きて洗面に立っていたタイミングで帰宅し、「おかえりなさい」を言ったのだ。だから、今はまだ休んでいると思われる。
そんなわけで、まともに一緒の食事もとれていない。
結婚して新婚生活というものが始まったのに、その実感はほとんどないのだ。