君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


 それから少しして、公宏さんと共にマンションを出た。

 歩いて行ける距離にスーパーがあるから、これから食材の買い出しはここに来ることになるだろうと思いながら入店する。

 入口で公宏さんが買い物かごを手に取った。


「ひとつ夢が叶った感じ」

「え? 夢、ですか」


 訊き返すと、公宏さんはフッと笑う。その表情は穏やかで優しい。


「奥さんとスーパーに買い物っていう夢?」

「えっ、なんですかそれ」

「変なこと言い出したと思っただろ?」

「え、いや、そんなことは思わないですけど。そんなことが公宏さんの夢って意外っていうか」


 お医者様でこのルックスで、あんなすごいマンションを用意するような人が、そんな庶民的なことが夢だなんて違和感というか、しっくりこないというか。


「そんなことって言うな、そんなことって」


 公宏さんの夢の話は公宏さんによってそこで終わり、青果コーナーから並んで食材を見ていく。

 買い物をする基本調味料や保存のきく食材は忘れないようにスマートフォンのメモに書き込んできた。

 あとは現地で物を見て買い求めようと思っている。

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