君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
落ち着いていない鼓動が一気に跳ね上がって、激しい音を立て始めた。
公宏さんの口から飛び出した〝子作り〟のフレーズが起爆剤。
それまで普通に話していたのに、途端に気持ちがそわそわと落ち着かなくなっていく。
視線を彷徨わせてみたものの、まだ乾ききっていない髪や、Tシャツから伸びる筋張った腕に余計ドキドキしてしまい逆効果。
誤魔化すように残りのビールを一気に喉に流し込んだ。
「そう、ですね……」
なんとか返した言葉もぎこちない。
私の様子をふっと笑った公宏さんも、グラスに残るビールを飲み終える。
グラスを置き、その手で膝の上にある私の手を掴んだ。
「舞花」
低く心地のいい声で名前を囁かれる。
つられるように握られた手から視線を上げて、公宏さんの整った顔が迫っていることに息が止まった。
触れた唇のせいで肩が揺れ、逃げるように体がソファーの背もたれに倒れかかる。
それを阻止するように公宏さんの手が私の後頭部を抑え、触れただけだった口づけが深まった。