君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
一度目のキスは海で、触れるだけの数秒のものだった。
でも、二度目のキスはそれでは終わらない。
唇を割って生温かい舌が侵入し、歯列に触れる。驚いて開いたその隙間から更に奥を目指され、縮こまっていた舌を搦め取られた。
「っ、ふっ、んっ……──」
初めての濃厚な口づけに意識が浮遊する。
飲んでいたビールの味を感じたけれど、それがどちらのものかはもうわからない。
「──公、宏さん……?」
いつの間にか体が宙に浮いていて、涙の膜の張る視界には微笑を浮かべて私を見下ろす公宏さんが見えた。
ソファーから横抱きで持ち上げられ運ばれていく。
「もしかして、酔ってる?」
「え……そんなこと、ないと……」
量としては二百ミリリットルも飲んでいないはず。
さすがにその量で目が回ってしまうことはないと思うけれど。
「じゃあ……今のキスでそんな顔してるのか」
「っ!」
カチャっと背後でドアが開く音がして、暗い部屋へと入っていく。
そっと静かに体を置かれた先は、寝室の大きなベッドの上だった。