君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「公宏さん……私、あの……」
今の話に、この流れ。今からの展開を危惧して動揺は増す。
だってこれまで、私にはそういった経験がないのだ。
結婚破棄になったのだって、根本の理由はそこだった。
私が体を許すことができなかったから、だから、結婚しても子どもを授かることができないだろうって……。
「大丈夫、舞花の言いたいことはわかってる」
「え……」
私を見下ろす公宏さんは、何も動じない、でも柔らかい表情で私を見つめている。
わかってる、とは、きっと私が経験がないということだろう。
子どもが作れないかもしれないと相手から言われた上、浮気をされていたという事情を母からなんとなくでも聞いているだろうから、私がヴァージンを守ってきたことはきっと察している。
シーツに散らばった髪を集めるように丁寧に指で梳き、その手でそっと頬に触れる。その優しい手つきにトクトクと鼓動が甘く高鳴った。
「全部……俺に委ねられる?」
怖くないと言ったら嘘になる。
でも、こんな風に言ってくれる公宏さんになら、私との子どもが欲しいと言ってくれる公宏さんになら、守ってきてしまった初めてを捧げられるような気がした。
「はい……お願い、します」