君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「今日は、やめておこう」
え……。
私の体を起こし、公宏さんはひとりベッドから下りていく。
「ごめん、先に寝てて。髪乾かしてくる」
そう言って、廊下からの明かりしか入っていなかった寝室に間接照明を灯し、ひとりドアの向こうに姿を消していった。
ひとりになってベッドの上に座り込んだまま、未だほんの少しカタカタと揺れている自分の体を再びぎゅっと抱きしめる。
突然どうしたというのだろう。
確かに緊張はしていたし、初めての体験に不安もあった。
だけど、こわれものを扱うように大事に触れてくれていた公宏さんに、怯える気持ちなんてなかった。
自分の意思に反して体が怯えるなんて、どうしてそんなことになるの……?
気持ちと体が切り離されてしまっているような状態に、私はしばらくひとり困惑していた。