君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


「結婚して新婚生活始めて、もうすぐ一カ月くらいだよね? それはもう済んでるものとばかり思うでしょ、普通は」


 普通は、か……。

 朱里が言うことは確かに間違いない。

 結婚すれば〝初夜〟なんて言葉もあるくらいだ。


「うん。だよね……」

「ああっ、落ち込むところじゃないから! ごめん、言い方悪かった。まぁ、夫婦もいろいろだから、そういう事情もいろいろだよね。でも、震えるっていうのは、やっぱり怖いからでしょ?」


 いざ服を脱がされかけ素肌に触れられると、自然と震えが起きていた。

 でもあのとき、震えるほど怖いなんて全く思っていなかった。

 決心をして、身を委ねるつもりでいたのに……。

 私本人が一番訳がわからないと思ったくらいだ。

 思い当たる節がない。でも、体は何かに怯えるように震えている。

 そんなちぐはぐな状態に混乱ししばらく悩んだけれど、もしかしたら喪失している記憶の中に何かあるのかもしれないという考えに行き着いた。

 体は覚えている──そういう状態なのかと……。

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