君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「どうした」
いきなり目の前に飛び出されて、見慣れない行動にうつむき加減の舞花をじっと見つめる。
自分の後ろに隠すようにしている両手を、俺に向かって突き出すように差し出した。
「あの、これ」
その両手にあったのは細長い小箱。
「栄養ドリンクです。さっき帰りに買ってきました。お疲れのようなので、良かったら」
舞花が栄養ドリンクと差し出したそのパッケージを見下ろし、思わず凝視してしまう。
〝マカ〟とでかでかと書かれ、〝爆〟や〝凄〟なんて字が躍る。
明らかによくある栄養ドリンクではなく、男性を対象とした性機能増強薬剤。
一体どうしてこんなものを買ってきて渡しているのか頭の中が混乱を極める。
しかし、目の前の舞花は至って普通の、むしろ真面目な顔でそれを差し出しているのだ。
この調子だと、本当に〝ただの栄養ドリンク〟と思って渡してきているのだろう。