君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
運動会の前日の夜。
私たちはやっとひとつに結ばれた。
私が震えてしまったあの一件から、無理はしたくないと公宏さんは思ってくれていたという。
でも、その優しさに甘えていても夫婦としての関係は変化していかない。
お互いに子どもが欲しいと願っているなら、越えなくてはいけない一線だったのだ。
自分の意思とは別で、やはり体は強張り怯えていた。
だけど、ここでやめないでほしいと懇願した。続けてほしい、と。
あのときは困らせてしまったかもしれないけど、公宏さんは丁寧に優しく私の体に触れた。
まるでこわれものを扱うように慎重で、その気遣いに心が震えた。
体を重ねた後、私の状態に変化は見られない。
もしかしたら震える原因は記憶障害に関係しているのかもしれないと思っていたけれど、何かを思い出すとか、混乱してしまうようなことは一切起こらなかった。
公宏さんもそれを心配していたけれど、変わらぬ私の様子にホッとしたようだった。