君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「今、保育中で、子どもたちが待っているから、時間を取って話すことはできません」
「じゃあ、ここで終わるまで待ってるから、少しでいいんだ。頼む」
断ればこのまま待つと言われ、帰ってほしいというこっちの気持ちが伝わらない。
園の前で待たれるのは迷惑極まりない。
もうすぐ保護者もお迎えに訪れる時間になるし、そんな中男性がひとりふらふらしているなんて不審者も同然だ。
「わかりました。今、少し時間を作って出てきます」
埒が明かないと諦め、急いでひとり園内に入っていく。
朱里に教室に少し入ってもらうヘルプを頼もうと思い付くと、ちょうど園庭でボールを片付けている朱里の姿を見つけた。
駆けながら「朱里先生!」と呼びかける。
走ってきた私を見た朱里はボールを手に立ち止まった。
「どうした、なんかあった?」
「ごめん、ちょっと給食の時間うちのクラス入ってくれないかな?」
「え、それはいいけど……」
「話したいって……昔、別れた彼が」
「えっ、嘘、来てるの⁉︎」
焦る気持ちを抑えてうんと一度頷く。
朱里はそれだけで状況を察したように、「わかった」と言った。