君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


 さっきまで普通に話していたのに。

 さっきまで笑顔を見ていたのに。

 病院へと搬送される車内で、救急隊員に処置される母を黙って見つめることしかできない。

 倒れたときの状況や持病、ここ最近の様子などを質問されても、ちゃんと受け答えできているかもわからなかった。

 救急車が病院へと到着し、救急搬送口へと車体がつけられる。


「お母さん、お母さん!」


 開いた救急車から待ち構えていたスタッフにストレッチャーに乗せられた母が引き継がれる。


「舞花!」


 救急車から追いかけるように降りて行った私を呼んだのは、濃紺のスクラブスーツを身につけ足早に近づいてきた公宏さんだった。

 その姿を目にして、搬送されたのが公宏さんの勤務する帝慶医科大学病院だったと知る。

 どこに到着したかも認識できないくらい周囲が見えていなかった。

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