君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「でも……私が、検査を勧めていたら、こんなことに──」
「舞花のせいじゃない。だから、自分を責めるな」
強い口調で否定すると、舞花の目にじわりと涙が浮かんだ。でもすぐに、俺の言葉に一度しっかりと頷いてみせる。
少しでも安心するように笑みを見せて頷き返した。
「これから緊急オペに入る。再出血を予防するための手術だ」
「公宏さんが、お母さんのオペを……?」
「ああ。俺のできるかぎりの最善を尽くす」
不安を押し込めるように体の前で組み合わせた舞花の手をそっと取った。
聡子さんを助けたいという舞花の気持ちも、今から執刀するこの手に受け継ぐ。
「聡子さんは、俺にとっても大切な人だ。舞花を産んでくれた偉大な人。それに、まだまだあの店に立ってもらいたいからな」
俺の言葉に舞花の目から涙がこぼれ落ちる。何度も頷き、添えた俺の手をぎゅっと握りしめた。
「よろしく、お願いします」