君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
11、真っ新な幸せを
新しい年を迎え、寒さもより厳しくなった一月下旬。
くも膜下出血後に手術をした母は、心配されていた別症状もなく自らの回復力で今までとなんら変わらない元気な姿を取り戻した。
公宏さんによると、もうじき退院することができるという。
病院の面会は平日は夜八時まで大丈夫なため、平日は園から直行で訪れている。
「毎日は大変だからいいわよ」なんて母は言うけれど、来れるときはなるべく顔を見にきたい。
「昨日ね、落合先生ご夫妻が来てくださったのよ。ちょうどお昼くらいの時間」
「え、そうだったの? 私も挨拶したかったな」
昨日も平日のため、病室を訪れたのは夕方だった。
「退院して、お店開け始めたらまた食べに来てくださるって」
「そっか。じゃあ、早く復活しなくちゃね」
「そうね。久世先生がせっかく救ってくれた命、また元気に働かないと」
そう言った母は「ほら!」と思い出したようにぱっと表情を明るくさせる。
「孫も抱かなきゃだし、長生きしなくちゃって言ってたんだから。まだまだ死ねないわよ」
そんな話をしていると、病室の入り口に人影が見える。
顔を出したのは公宏さんで、母と私の姿に微笑を浮かべて病室へと入ってきた。