君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


 公宏さんの勤務が終わり一緒に帰る道すがら、簡単に夕飯を食べにお店に立ち寄った。

 その後、マンションへと帰宅したのは八時過ぎ。

 体が冷えているためそのまますぐに入浴し、自室で髪を乾かした。



「ふぅ……」


 鏡の中の自分を見つめ、ついため息をついてしまう。

 さっき母と何気なく話した会話が頭の中をぐるぐるしていた。

 ドレッサーの端に並べて飾ってある、かわちゃんと色違いのもうひとつのかわちゃん、その名も〝がわちゃん〟を手に取る。

 前に公宏さんと動物園に行ったとき、帰りに買ってもらった子だ。

 今はかわちゃんとがわちゃん二体揃って園では子どもたちの人気者だ。

 手に取った二体を左右の手にはめてみる。

 向かい合うようにしてみると、つい喋りたくなってしまった。


「ねぇ、がわちゃん? 赤ちゃんをつくるには、どうしたらいいの?」

『それは、愛し合えばできるでしょ』

「愛し合うって、スキンシップってことでしょ?」

『そう。こうやって……』


 がわちゃんをかわちゃんに近づけ、ちゅっとキスをさせる。


『キスして、抱き合って』

「えぇ! 恥ずかしいよ!」

『でも、赤ちゃんが欲しいならそうしないと──』

「なーにやってんだ?」

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