君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


 突然後方から声をかけられて、椅子にかけるお尻が驚きで浮き上がる。

 思わず「きゃっ」と声まで出して驚いてしまっていた。

 体をよじって振り返ると、いつの間にか部屋の中に公宏さんがいる。

 両手にはめた、かわちゃんがわちゃんを隠すように膝の上に下ろした。

 一体いつから聞いていたのだろう。

 とんでもない内容のひとり芝居をしていたことに、心臓がバクバクと音を立てて鳴り始める。


「公宏さん、いつからそこに……」

「え? ああ、『赤ちゃんをつくるにはどうしたら』ってあたりからいたけど」


 終わった……。ほぼ全部、恥ずかしいの聞かれてるじゃん!


 わかりやすく顔が熱を持ち火照る。

 そんな私の様子に微笑を浮かべた公宏さんは、かけたままの私に近づき、なぜだかがわちゃんのほうを手に取った。


「そろそろ、赤ちゃんほしくなってきた?」


 公宏さんは手にはめたがわちゃんで私に話しかける。

 それに合わせるように、私も再びかわちゃんを手にはめ向かい合わせた。


「赤ちゃんは……ずっとほしいけど……」

「けど……まだ、怖い?」


 がわちゃんでそう訊く公宏さんの端整な顔をじっと見上げ、かわちゃんの首を横に振る。

 もう、しばらく公宏さんに触れられていない。

 だから、怖いというフラッシュバックにもここのところ襲われていない。

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