君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「どうした? そんな思い詰めた顔して」
私の様子が普段と違うことを感じ取り、公宏さんはどこか警戒するように真顔を見せる。
その様子が内心おかしくて、心の中でけらけらと笑ってしまった。
「これ、見てください」
背中に隠していた使用済みの検査薬をばっと取り出し見せると、公宏さんは予想もしなかったのか検査薬の一点を見つめたまま静止する。
数秒後、顔を上げると「舞花、これ!」と普段出さないような興奮した声を上げた。
「え、ほんとか? 検査したのか? 今日?」
興奮しているせいか、質問の仕方がおかしくてついクスッと笑ってしまう。
「はい。今日、お昼の給食でご飯が食べられなくて。そんなこと今までなかったからおかしいと思ってたら、そういえば生理がしばらくきてないって気づいて、それで」
検査した経緯を説明すると、公宏さんは正面から私を抱きしめる。
「舞花、やった! 良かった!」
いつも落ち着き払っているタイプの公宏さんがこんなに喜んでくれるとは思いもせず、胸に熱いものが充満する。
私のほうからも両手を回し、ぎゅっとしがみついた。
「産婦人科に行こう。明日行こう。いや、今からか?」
「公宏さん、もう、落ち着いてください」
「ごめん。嬉しくて……」
私がクスクス笑うと、公宏さんも耳元でフッと笑う。
いつまでもこうして笑い合っていきたい。頼もしい彼の腕の中で、そう願っていた。
Happy End