君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
そっか、今日会えなくなったんだ……。
式のことで話したいことがあったんだけど、お仕事なら仕方ないか。
通話を終え戻ろうとしたとき、通路の奥に子どもたちが数人現れた。
ここに来たときから声は聞こえていたけれど、この奥にキッズルームでもあるのかもしれない。
入院中と思われるパジャマ姿で、なにやら揉めている様子。
男の子女の子のふたりずつで、幼稚園年長から小学校低学年くらいの子たちだ。
「体のところ膨らむはずだし、しっぽもおかしいよ」
「でも、これで合ってるはずだもん!」
「違うよ、絶対。ねっちゃんが折れるって言ったのに、どうすんだよ」
ひとりの女の子が責められ、とうとう顔を両手で覆って泣き出してしまう。
職業柄子どもたちの揉め事を見て見ぬふりはできず、気づけば足がそちらに向いていた。
「どうかした?」
保育をしている大人がいる様子ならこのまま立ち去ろうと思ったけれど、子どもたちがいたキッズルームと思われる部屋には誰の姿もない。
やはり子どもたちだけでこの部屋に来ていたようだ。
突然声をかけた私に、泣いている女の子以外の三人が目を向ける。
泣いている女の子の手には、赤い折り紙で折った鶴のようなものが握られていた。