君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「あ、赤い鶴。見せて見せて」
今の話の流れから、どうやら鶴が上手く折れず揉めていたと推測。
私が手を差し出すと、女の子は片手で目元を拭いながら赤い鶴を差し出してくれた。
「すごいね、鶴が折れるなんて」
受け取った鶴を見てみると、最後の折り返しが逆になっていた。
羽になる部分が顔のほうにされていて、これでは確かに羽が開かない。
園でも折り鶴を教えることはたまにあるけれど、子どもたちには難しいらしく最後のこの部分で間違えることがよくある。
「見て見て、ここのところ……こっち側に折って、こうすると、ほら」
間違っていても〝違う〟と全否定することなく、どこが違っていたかを見せて本人に気づかせる。
上手くいかなかった鶴がほんの少しの修正で立派な鶴となり、泣きかけていた女の子は笑顔を取り戻していた。