君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
そうだった……! 私、すっかり子どもたちと折り紙なんてしちゃってて……!
「ごめんね、私、用があってき来たのにすっかり夢中になっちゃって」
完成間近の鶴を超特急で仕上げ、鶴の山の中に放つ。
「それじやあ、みんな千羽鶴頑張ってね」
そう言って、急いで立ち上がった。
「すみません、お待たせしました」
小走りで部屋の入り口まで向かい、スニーカーに足を突っ込む。
ペコペコと頭を下げて謝り、目を合わせないために顔は見上げない。
「こっちこそ、待たせて申し訳ない」
「いえ。お忙しいところ押しかけて申し訳ないです」
「でも、さすが幼稚園の先生」
え……?
思いもよらない言葉を掛けられ、思わず顔を上げる。
目が合うと、久世先生は口元にわずかに笑みを浮かべた。