君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
Side Kimihiro
救命救急からのコールで夕方近くに緊急のオペが入ったものの、七時前には病院を出ることができた。
特に予定のない日は、ふらっと行きつけの小料理屋に夕食を取りに行くことが多い。
藍色の暖簾をくぐった先、いつ訪れても変わらぬ落ち着いた空間と、「いらっしゃい」と迎えてくれる店主の温かさにいつもホッとする。
『小料理さと』の女将さんである聡子さんとは、かれこれ知り合って五年以上が経つ。
元々は恩師である落合先生に連れて来てもらったことがきっかけで、そのうちにひとりでも通うほどの常連になっていた。
家庭的な雰囲気と美味しい温かみのある料理に自然と惹かれたのだろう。
加えて聡子さんが親しみやすくて、居心地がいいのが通うようになった決定的な理由だと思う。
カウンターの上の大皿には、今日も肉じゃがや筑前煮、魚の煮付けが盛られている。