君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「聡子さんもしばらく忙しそうですね」
「そうね。でも、娘も仕事は変わらず続けているし、結婚式も身内だけでこじんまりやるみたいだから、そこまで大忙しにはならなそうなの」
「娘さん、確か幼稚園の先生でしたっけ?」
聡子さんが「ええ、そうよ」と答えるのを聞きながら、ふと今日のことを思い出す。
深く頭を下げ、返したパペットを手に足早に去っていった小さな背中。
「幼稚園の先生って……子どもと仲良くなるコツかなんか習うんですかね?」
「えぇ?」
聡子さんは俺の発言がおかしかったのか、「何それ」とふふっと笑う。
「いや、今日診た中に、幼稚園の子どもがいたんですよ。遊具から転落して頭打ったっていう。付き添いで園の先生が一緒だったんですけど、信頼置かれてるのが伝わってきて。俺がどちらかというと子どもに怖がられるほうだから、すごいなって」
自分が普段みている子に限らず、入院患者の子どもたちとまで恐らく短時間のうちに打ち解けて一緒に過ごしていた。
子どもたちが懐いて楽しそうにしているのを見て、なかなか声がかけられずしばらく見守ってしまったくらいだ。