君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「そうだったの。そのお子さんは?」
「小さな外傷のみでした。CT画像も問題なくで」
聡子さんは「そう、良かった」とホッとしたように微笑む。
「幼稚園の先生、子どもが好きな人じゃないとできないわよね。うちの娘も、かなりの子ども好きよ」
「やっぱり、そうなんですね」
「好きだって気持ちが、子どもたちにも自然と伝わるのかもしれないわよね。コツとかじゃなくて、きっとハートよ」
「ハート……」
ぽつりと呟くように繰り返すと、聡子さんはこっちを見てくすっと笑う。
「でも、久世先生が子どもに怖がられるほうっていうのは意外ね」
「そうですか? なんですかね、顔が怖いんですかね?」
「怖い? ああ、きりっとした整った顔立ちだからかしらね」
「聡子さん、そんな褒めてくれなくてもこれからも通いますから」
「あら、褒めてるわけじゃないわよ。いつも言ってるじゃない」
聡子さんのいつもの調子に和みながら、温かい食事に舌鼓を打つ。
いい知らせを聞いたからか、なんだか心まで満たされているような気がしていた。