君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
だから、プロポーズをしても一向に体を許さない私に愛想をつかし、別の人との人生を考えだしてしまった。
私のせいで、私が悪かったから、だから招いてしまった結果……?
宛てもなく歩いて、目の前に見えてきた横断歩道橋の階段を上がっていく。
それならもっと早く、別れようって言ってほしかった。
他の人と二重で付き合う前に、私との関係を終わらせてほしかった。
今頃になって涙が視界いっぱいに広がっていく。
続く階段を足もとだけを見てとぼとぼと昇っていた、そんなときだった。
歩道橋の上を走ってきた男性が、勢いよく階段を駆け下りてくる。
危ない──そう思ったときには、階段を上り切りそうな私に気づかなかった男性の体が容赦なくぶつかった。
「あっ──」
足に踏ん張りもきかず、手すりに飛びつくこともできず、体が後ろに倒れていく。
何かに後頭部を強打し、そこから私の意識はぷつりと途切れた。