君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
遠くから何かの機械音が規則的に聞こえていた。
痙攣する瞼をゆっくりと開いていく。
視界には白い天井と蛍光灯が映り、どこかで寝かされている状態だと理解する。
ここ、病院……?
目だけ動かして上の方を見ると、点滴がぽたぽたと落ちているのが見える。
「都築さん、ご気分どうですか?」
視界の中に突然女性が現れた。格好から看護師と思われ、小さく頷いてみせる。
「今、先生呼びますね」
そうだ……私、階段から落ちて……。
途切れる前の記憶が徐々に蘇り、自分の状況が腑に落ちる。
救急車で病院に運ばれたんだと思っていると、視界に男性の顔が映り込んだ。
「都築さん、ご気分は?」
あ……この人……。
思わずじっと凝視してしまう。
視界を邪魔しないようにセットされた艶やかな黒髪に、アーモンド形の奥二重の目。更に細く高い鼻梁と薄い唇が端整な顔をつくり上げている。
濃紺のオペ着に白衣を羽織るのはこの間と同じ格好。
間違いない。以前みみちゃんがケガをしたときにお世話になった、脳外科の久世先生だ。
目に焼き付けるように久世先生をじっと見つめる。
そんな私を見下ろす久世先生が、「ああ……」と何かに納得したような声を出した。