君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


「一緒になっても、子どももつくれないかもしれない。そう言われたって、あの子……『お母さんごめんね』なんて、笑おうとするのよ」


 聡子さんの目から大粒の涙が次々と溢れ出していくのを目撃し、膝の上で組んだ自分の手に視線を落ち着かせる。


「結婚相手……他に、付き合ってる相手もいたんだって。その相手がね、妊娠してるとも言われたって……」


 つい、『なんだそれ』と不快な気持ちがダイレクトに口から出そうだった。

 信じられない。

 結婚を約束し、その式の当日に破棄を申し出たと思えば、別に相手がいて、更には妊娠させていた……?

 やっていることが鬼畜すぎて理解に苦しむ。


「それを告げられてあの子、何も考えられなくなったんだと思うの。ぼんやり歩いてたら、人とぶつかって、病院にお世話になるようなことになったんじゃないかって」

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