君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「舞花、何か食べる? から揚げ定食ならすぐ出せるけど」
「んー……」
「食欲、ない?」
心配そうに伺われて、横に首を振ってみせる。
「ううん。じゃあ、もらおうかな、から揚げ定食」
「わかった。すぐ出すわね」
あれから一カ月。
突然の結婚破棄を受けても、毎日は変わらず繰り返されている。
園に迷惑はかけられないから、仕事は休まず行っているけど、自分の仕事が幼稚園教諭で良かったと最近改めて思っている。
仕事に行けば元気で可愛い子どもたちに囲まれ、毎日充実した時間を過ごせる。
明るい気持ちにさせてくれるのは、子どもたちが持つ魔法のような力だ。
近々結婚の予定があると園には申し出ていたけれど、まだ結婚が破棄になったことは話せていない。
考えただけでも気が滅入ってしまい、まだ口に出せそうもないからだ。
あの直後、精神的にも参ってしまった私は、食事も喉を通らなくなった。
体重は一気に五キロも落ち、身近にいる母には余計な心配をかけ続けている。