君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「やだ、こんな雨の中」
「いやぁ、大したことないだろうと思ったら突然ゲリラ豪雨だよ」
母と出水さんのそんなやり取りを耳にしながら、急いで裏にタオルと取りに入る。
お酒を運ぶ短時間でTシャツが濡れるほどの強い雨だ。
「大丈夫ですか? びしょびしょじゃないですか!」
取ってきたタオルを持って出水さんに駆け寄り、水滴だらけの腕を急いで拭いていく。
「あ、すみません、勝手に拭いちゃって。これ、使ってください」
「おお、舞花ちゃんありがとう。なんか初めてだな、舞花ちゃんと直接話すの」
「えぇ? そうでしたっけ? これ、ありがとうございます。奥に運びますね」
タオルを手渡し、その手で出水さんの運んできたビール瓶の入るケースを持ち上げた。
二回に分けて一ケースずつを運んでいる間に、母が注文のやり取りを行う。
出水さんが「毎度ー」と店を出ていき、店内には再び母とふたりきりになった。