君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「お待たせー。舞花先生押しに来ましたー!」
ちょっとふざけた口調で登場してみると、子どもたちはワッと喜びの声で歓迎してくれる。
そんなときだった。
「舞花先生!」
ブランコの奥から受け持つひまわり組のかのんちゃんが全速力で駆けてくる。
「どうした?」
「みみちゃんが! みみちゃんがお城から落ちた!」
「えぇ⁉︎ 落ちたって──」
「こっち!」
再び駆けていくかのんちゃんについていくと、ブランコにあるお城を象った遊具の元、私のクラスの沢野みみちゃんが倒れていた。
横たわったまま声を上げて泣いている。遊び着の下の制服のスカートが捲り上がったままで、落下したまま倒れているのを物語っていた。
「みみちゃん、大丈夫⁉︎ どう落ちたの⁉︎」
両手で頭を押さえていることから、頭を打ったことが考えられる。
「みみちゃん、上で手離しちゃって、それで頭ごんってぶつけちゃって」
私の横でかのんちゃんが必死にそのときの状況を説明してくれる。
「みみちゃん、ちょっと見せて」
駆け寄り地面に膝をついてみみちゃんを抱き起そうとした瞬間、動かしてもいいものかと一瞬迷う。
そっと体を抱いて頭を押さえている手を「先生に見せてね」と声かけしながら離すと、みみちゃんの手の平には後頭部からの出血がついていた。