君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~


「ところで、お前はいい相手はいないのか」


 もうすぐお店に着くという頃、突然前触れもなくそんな話題を出された。


「なんですか、急に」

「急でもないだろ。会うたびにいい知らせを楽しみにしてるんだぞ」


 落合夫妻には子どもがいない。

 そんな事情もあってか、俺を我が子のように可愛がってきてくれた部分もあるのだと思う。

 だからいつか、俺が結婚をすることを楽しみにしているし、子どもが生まれることも待ち望んでいる。


「すみません。まだ、残念ながら」

「そうか。相変わらず仕事しすぎだな」

「そうかもしれません」


 親もなく、兄弟もいない俺は、ずっとひとりで生きてきた。家族の温かみというのを全く知らないのだ。

 だから大人になって、知ることのできなかった家族というものを、今度は自分自身でつくりたいと思う気持ちは強い。

 愛する人を、守っていきたいと思える人をいつかは得たい。

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