君との子がほしい~エリート脳外科医とお見合い溺愛結婚~
「あら、じゃあお言葉に甘えてご馳走になろうかしら」
そう言って、小さなグラスを差し出した。
「では、いただきます」
グラスに口をつけた聡子さんは「落合先生、この間はごめんなさいね」とどこか申し訳なさそうに微笑を浮かべた。
「いや、いいいい。気にしないで」
「恥ずかしいところを見せて。奥様にも、よろしく伝えてくださいね」
さっき落合先生が言っていた、泣いてしまったことを言っているのだろう。
ホッケの骨を箸で取り除きながら、ふと、都築さんの顔が頭に思い浮かぶ。
あれから特に病院に来院もないし、聡子さんからも彼女の話はない。
特に生活に問題もなく、仕事も変わらず続けられているのだろうか……?
「舞花さんは、変わらずかな?」
「ええ。おかげ様で少しずつですが、元気にはなってきてるかなと思います。あれから二か月ですから、時間はまだ必要ですけど。でも、確実に少しずつは」