姫と魔王の城
一方、魔王のいる玉座前では、本物の姫が鳥籠のような籠に入れられ、魔王に尋問を受けていた。

「あの娘は何者だ?」

「っ…あなたなんかに言う事はないわ!」

魔王は鳥籠ごと姫を浮かせた。姫は顔を引つらせ、膝から崩れた。

「…あれは貧民の娘よ…!わたくしの代わりをさせるためにそっくりな娘を探して、見つけてきたのがあの娘!」

目を逸らし、気丈に振る舞い続ける姫。魔王はイラつきを抑えるようにしながら更に問う。

「戦争の準備の為だと言ったな?あの娘はお前では無いのだから魔力は無い。用が無い娘は私に殺される可能性はあったのだぞ?」

魔王は冷酷な目で姫を睨みつけた。

「だから?」

姫は目を合わさないまま、何でもないというように言った。

「あなたに殺されたら、別の娘をあなたの見つけやすい場所に置くだけよ。」

とたん魔王は姫の入った鳥籠を目の前に近づけ、黒い霧でジワジワと包み始めた。

「…!!」

「やはりお前たちの国は腐っている…!!あの娘を見て、人間の優しさがまた見えてきたのだが、お前と同じ王家のものたちは、無抵抗な私の部下たちを傷つけ続けるだけのことはあるようだ!!」

姫を包んだ霧はどんどんと濃くなっていき、息苦しさを増した。

「きゃああ!!苦しい…止め…て…!!」

「お前の魔力を寄越せ!!もうたくさんだ!もう私の大切なものをこれ以上苦しめたくは無い!!」

「っ…誰が…穢らわしい魔物なんかと!!」

「あの娘はお前よりもずっと辛い目に合い続けている!!お前の代わりに無理矢理攫われ、私に毎夜身体を奪われ、鎖に繋がれ魔物に見張られて地下牢で不自由に過ごす、あの娘の辛さが!!!」

魔王は怒りに震えた。

「お前と身体を重ねる他、方法が無いならば、『愛してもいない』お前を犯すまでだ!!私の大切なものを守るためならば仕方が無い!!私にお前の魔力が宿るまで犯してやる!!」
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