悪魔と願いの代償
ある日の夕刻、悪魔は目覚めると屋敷中を見て娘を探した。

(ここには居ないようだな…ま、すぐに見つけるさ)

悪魔は、この時間いつも屋敷にいるはずの娘が居ないのに気づくと、娘に分からぬよう娘の体に付けた印の、魔力を辿る事にした。

自分の見た目を人間らしく変え、今はもう暗くなり始めた外へ出た。これならば悪魔だとバレることなく、こうして優しそうな笑顔を湛えて声を掛ければ、人間達は警戒せずに寄ってくる。
たまにこうして夜に外へ出て、人間の娘を攫っていた。

(この姿も久々だ。)

魔力を辿って行くと、小さな店の裏で、仕事を終えたばかりの様子の娘を見つけた。

(ご苦労なこった。金のために、人間は面倒だな。)

疲れ切って小さな椅子に座り込んでいる娘を見て、面倒そうに顔をしかめる。

ふ、と娘が顔を上げ、こちらを見た。

「…あ…!」

娘がこちらに気づいて声を上げると、悪魔は反射的に踵を返し、誰も見ていない建物の影で、霧のように姿を消した。

(なんだ?俺だとバレたのか?いや、そんなはずは……あの娘なら、この姿で弄んだなら俺が覚えているはずだ…)

悪魔は平然を装って屋敷に娘が来るのをいつもの姿で待った。


しばらくして娘はやって来た。

「…遅くなりました……」

「今宵も逃げずに来たな。いつもより遅いようだが?」

いつもより悲しげな娘を見て、悪魔はほくそ笑んだ。

(俺を追い掛けて見失ったな…?なぜ追ってこようとしたか知らないが、そう簡単にバレるものか。)
「何かあったか?ずいぶん表情が暗いな。まあいい。」

何食わぬ顔で今宵も娘の身体を奪った。

「っ…お願いです…!あなたと会っていること、誰にも言わないで下さいっ……!!」

「なんだ、誰か知られたくない奴がいるのか?ま、自分の願いのために悪魔に身体を好きにさせてるなんて、誰にも知られたくないよなあ?」

「っ…!!」

娘は泣きそうになるのを堪えているようで、目に涙を溜めて顔を背けた。

(そうか…知られたくない、か…これは使えるな…)
「くくっ…ならもっと泣け、楽しませろっ!!」

娘は後ろ手に縛り上げられたまま悪魔の上に座らされ、繋がったまま腰を揺さぶられた。

「やあっ!!あぁぁぁぁ!!」

(これはいい!もっと傷つけ、泣かせてみたい…!!)

悪魔は今宵も、自らが果てるまで娘を堪能した。
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